高位脛骨骨切り術と前十字時靭帯再建術の抜釘(プレート及びスクリューの除去)について

高位脛骨骨切り術
の抜釘について

高位脛骨骨切り術1年後に実施される抜釘術についてご説明します

前十字靭帯再建術の抜釘について

​前十字靭帯再建術1年後に実施される抜釘術についてご説明します

 

​高位脛骨骨切り術の抜釘及びセカンドルックについて

1.抜釘術の目的

 川田整形外科では高位脛骨骨切り術(以下HTO)を実施後1年を目安に手術時に挿入したプレートを除去する抜釘術(ばっていじゅつ)を実施しています.HTOのプレートは全長が長く,スクリューも8本入っているため膝への違和感が強く,術後6カ月以降腫れが軽減してくるとともに異物感が出現してくることがあります.また,まれにプレート部の痛みやプレート周辺における皮膚の伸張感がみられ,膝の可動域に影響することがあります.抜釘術によりプレート及びスクリューを除去することで異物感の消失が得られ,皮膚への伸張感も軽減します.

​ また抜釘術と同時に関節鏡を用いて軟骨の再生具合を確認します.初回の手術時に損傷した軟骨に対し骨に穴をあけて軟骨の再生を促すマイクロフラクチャー法を実施しています.そのため再度関節鏡で見ることにより,1年後にどの程度軟骨が再生しているかを直接確認することで治癒レベルを把握することが可能になります.

川田整形外科,高位脛骨骨切り術,抜釘

写真はHTOで使われるプレートとスクリュー.

術後,プレートとスクリューはお持ち帰りいただけます.

2.HTO抜釘術の入院期間

 抜釘術に際し,入院期間はHTOでは9泊10日を原則として入院していただきます.HTOではプレート除去に際し,手術創が大きいため,抜糸後 1日間 経過観察させていただきます.

3.HTO抜釘術の痛み

 初回のHTOでは術後の痛みが強く,3日~7日間程度痛みが続くことがあります.しかし,HTOの抜釘術では術後の痛みはほとんどみられません.そのため術後すぐに杖なしでの歩行が可能になります.術後翌日は不安感のため片松葉杖を​使用することもありますが,すぐに不要となることが多いです.

 抜釘術を実施した方から,『初回のHTOの痛みを100として全く痛みのない状態を0とすると今回の痛みはどの程度ですか?』という痛みのアンケートを取った結果,平均で痛みは6という結果になりました.つまり初回手術の6/100程度の痛みということでした.痛みの度合いは個々により異なるため全員が同様になるとは断言できませんが,概ね痛みは少ないということがわかりました.

4.HTO抜釘術のリハビリテーション

 HTO抜釘術後,歩行は可能になりますが,術後の侵襲のため膝関節を中心に腫れが生じます.そのため,術前に比べ膝関節可動域や膝関節の筋力低下を伴います.これらは,退院時までに完全に回復しないこともあるため,入院中のリハビリテーションは重要になります.術後リハビリテーションは運動制限は特にないため,術創が開かないように配慮しながら可動域訓練や筋力訓練,腫脹軽減のための物理療法を中心に行います.

 退院時には一度筋力測定を行い術前に測定した値と比べて回復しているかどうかを確認します.その回復具合に応じて今後のリハビリテーションが必要かどうかを判断します.

5.HTO抜釘術の費用

 HTOの抜釘に必要な入院費用は個々により異なるため詳細な金額は提示出来ないことをご理解ください.入院費用には医療費や食事代,差額ベッド代や雑費などが含まれております.医療費に関しては高額医療費制度が適用となるため適用範囲により自己負担額が異なります.また高額医療費の適応とならない物に関しては,食事代や差額ベッド代,雑費などがありそれらの費用は目安で①60000円になります.そのため,退院時に必要な費用としては高額医療費の自己負担限度額分(35400円~252600円+別途計算式分) + ①60000円(食費や差額ベッド代など)となります.

6.HTO抜釘術後のフォローアップ

 HTO抜釘術後,可動域や筋力の改善が抜釘術前よりも低下している場合には,同レベルになるまでリハビリテーションを実施し,身体機能の改善を行います.また,骨切り部に関しては抜釘術後1年間,レントゲンやMRIなどで骨の状態を確認していきます.定期的な診察もあるため,気になることなどがあればドクターに相談することができます.

7.HTO抜釘後のスポーツ復帰

 抜釘後1週間で抜糸を行いますが術創が大きいため皮膚が過度に伸張したり,ぶつけたりすると傷口が開くことがあります.また皮膚もこの時期は薄いため皮膚バリアも十分ではありません.そのため,土などの汚れなどは感染症の危険性があるため,術後は十分に衛生面に気をつけてください.スポーツなどは上記のことに注意すれば問題ありませんが,コンタクトスポーツや屋外のスポーツなどは傷口に十分注意してください.

 

​前十字靭帯再建術の抜釘及びセカンドルックについて

1.抜釘術の目的

 川田整形外科では前十字靭帯再建術(以下ACLR)を実施後1年を目安に手術時に挿入したプレートとスクリューを除去する抜釘術を実施しています.ACLRのプレートは全長が短く,スクリュー2本しか入っていないため高位脛骨骨切り術(HTO)に比べ違和感が少ない特徴があります.術後6カ月以降腫れが軽減してくるとともにスクリューの突起が目立つようになり,まれに異物感を伴うこともあります.またプレート部の痛みやプレート周辺における皮膚の伸張感がみられ,膝の可動域に影響することがあります.抜釘術によりプレート及びスクリューを除去することで異物感の消失が得られ,皮膚への伸張感も軽減します.ACLRの場合はHTOと異なりグラフト(半腱様筋腱)を採取しており,採取部がプレート固定と近いこともあり,まれに膝曲げ伸ばしの筋力発揮に同部位に痛みを生じることがあります.これらの痛みもプレート除去によって解消されることがあります.

​ また抜釘術と同時に関節鏡を用いて再建した前十字靭帯の成熟状態,軟骨の再生具合(骨挫傷があった場合),半月板の状態を確認します.前十字靭帯の場合は再建した靭帯が半年間は強度が低下しており,その時期の活動状況や保護状態により再建靭帯に一部損傷を与えていることが稀に生じます.そのため1年後に再度関節鏡で見ることにより,どの程度前十字靭帯が成熟しているか,靭帯に損傷がないかを直接確認することは,現在の膝の状態を把握するために非常に重要となります.

  他院では抜釘術を行わない施設もあるようですが,川田整形外科では上記の理由により抜釘術及び関節鏡を実施することをおすすめします.

川田整形外科,前十字靭帯再建術,抜釘

写真はACRLで使われるプレートとスクリュー.

術後,プレートとスクリューはお持ち帰りいただけます.

2.ACLR抜釘術の入院期間

 抜釘術に際し,入院期間はACLRでは8泊9日を原則として入院していただきます.ACLRではプレート除去に際し,手術創が小さいため,抜糸当日に退院が可能になります.

3.ACLR抜釘術の痛み

 初回のACLRでは術後の痛みが強く,3日~4日間程度痛みが続くことがあります.しかし,ACLRの抜釘術では術後の痛みはほとんどみられません.そのため術後すぐに杖なしでの歩行が可能になります.術後翌日は不安感のため片松葉杖を​使用することもありますが,すぐに不要となることが多いです.

4.ACLR抜釘術のリハビリテーション

 ACLR抜釘術後,歩行は可能になりますが,術後の侵襲のため膝関節を中心に腫れが生じます.そのため,術前に比べ膝関節可動域や膝関節の筋力低下を伴います.これらは,退院時までに完全に回復しないこともあるため,入院中のリハビリテーションは重要になります.術後リハビリテーションは運動制限は特にないため,術創が開かないように配慮しながら可動域訓練や筋力訓練,腫脹軽減のための物理療法を中心に行います.

 退院時には一度筋力測定を行い術前に測定した値と比べて回復しているかどうかを確認します.その回復具合に応じて今後のリハビリテーションが必要かどうかを判断します.

5.ACLR抜釘術の費用

 ACLRの抜釘に必要な入院費用は個々により異なるため詳細な金額は提示出来ないことをご理解ください.入院費用には医療費や食事代,差額ベッド代や雑費などが含まれております.医療費に関しては高額医療費制度が適用となるため適用範囲により自己負担額が異なります.また高額医療費の適応とならない物に関しては,食事代や差額ベッド代,雑費などがありそれらの費用は目安で①60000円になります.そのため,退院時に必要な費用としては高額医療費の自己負担限度額分(35400円~252600円+別途計算式分) + ①60000円(食費や差額ベッド代など)となります.

6.ACLR抜釘術後のフォローアップ

 ACLR抜釘術後,可動域や筋力の改善が抜釘術前よりも低下している場合には,同レベルになるまでリハビリテーションを実施し,身体機能の改善を行います.ACLRの場合,正座が違和感なくできるようになるまでのリハビリテーションをおすすめします.正座に違和感がある場合,膝周辺部に癒着や滑走性の悪い部分があるため症状が残存することがあります.再建靭帯に関しては抜釘術後1年間,MRIなどで靭帯の状態を確認していきます.定期的な診察もあるため,気になることなどがあればドクターに相談することができます.

7.ACLR抜釘後のスポーツ復帰

 ACLR抜釘後のスポーツ復帰は術創(傷口)がHTOに比べ小さいですが,傷口が開く方向に伸張したり,ぶつけたりすると傷口が開くことがあるので注意してください.また,HTOと同様に泥や汗など不潔な環境にさらすと感染症の危険があるので術後は衛生面に注意しながら清潔に保ってください.

 また術後は筋力低下(大腿四頭筋など)を生じており,退院時には抜釘術前の筋力まで回復していないことがほとんどです.そのため,抜糸後すぐにスポーツ復帰することは前十字靭帯の再断裂のリスクが高いため十分に気をつけてください.スポーツ復帰する場合は徐々に運動強度を上げていき,不安感と違和感がなくなってから完全復帰することをおすすめします.術後1カ月では筋力が回復していることがほとんどなので術後1カ月を目安に完全復帰すると安全性が高いと思います.