足底腱膜炎(足底筋膜炎)の治療方法:体外衝撃波疼痛治療について

1.体外衝撃波疼痛治療とは?
 衝撃波を痛みが生じている部位に照射することにより、痛みを誘発している自由神経終末が破壊され、除痛効果が得られる治療法です。また除痛効果だけでなく、組織修復作用もあり、血管新生や腱修復反応を促進する効果があります。

   衝撃波は音速を超えて動く時に生じる圧力波のことでその最大圧力波は100Mpaとも言われています.具体的には100Mpaは1000気圧とされ水深約10000mのマリアナ海溝と同じくらいの水圧がかかり1㎝
あたり1トンの力が加わります.

​ 物理療法でも使われている超音波も圧力波ですが,その出力は集束型衝撃波の1/1000とされます.また超音波は連続波のため出力を上げると熱を生じますが,衝撃波は非連続波のため出力を上げても熱を生じないため,高エネルギーを連続で照射することが可能になり,痛みの軽減や組織の治癒を促すことができます.

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DUOLITH(デュオリス) SD1

高知県内で初導入(2017/8)しました。

2.対象となる疾患

①日本国内では難治性足底腱膜炎(足底筋膜炎)に対し、保険が適応されています。

②保険適応外疾患(自由診療10割負担)の例

[足部]急性期の足底腱膜炎(足底筋膜炎)・アキレス腱炎

[膝]膝蓋腱炎 (ジャンパー膝)

[肘]上腕骨外側上顆炎・内側上顆炎(テニス肘)

[肩]石灰沈着性腱板炎・腱板炎

[骨折]偽関節・疲労骨折

[その他]早期の離断性骨軟骨炎・早期の骨壊死

 

​ 足底腱膜炎(足底筋膜炎)は踵から指先の付け根まで伸びる腱組織(足底腱膜)が反復的な微細損傷を生じた結果,炎症を起こして痛みを生じる疾患の1つです.足底腱膜は足のアーチをサポートし、加えられた圧力に対するショックアブソーバーとして機能します。

 足底腱膜炎の原因は多因性であると考えられており、生体力学の異常と治癒の遅延が原因と考えられます。足底腱膜炎の危険因子には、扁平足、ハイアーチ、アキレス腱または腓腹筋の硬さ、足部筋の硬さ、脚の左右差、肥満、ランニング、長時間の立位またはウォーキング、履き心地の悪い靴などがあるとされています.

 症状としては朝または長時間の座った状態から立ち上がった後のかかとの痛みを生じ、動き始めると症状が和らぐといった特徴があります。一方で臨床症状では歩行(ウォーキング)やランニング時に踵の痛みを生じる方も見られます.足底腱膜炎は難治性足底腱膜炎(長い期間治りにくい)になることがあるため,痛みが長引く場合には病院を受診することをおすすめします.

川田整形外科で行う足底腱膜炎(足底筋膜炎)の治療
​足底腱膜炎(足底筋膜炎)

3.治療の特徴

 

1.1回の治療時間が10~15分と短い.

2.治療期間は3回.(週1回を3回)

3.麻酔を必要とせず,治療後歩行が可能.

4.外来通院で治療ができる.

5.手術と違い傷跡が残らない.

6.副作用があまりみられない.

4.治療の副作用

 

 ESWTは副作用が少ないことがメリットの一つであり,ESWTの合併症に関する研究*では,血腫、感染および異常な筋骨格事象のような重篤な有害事象は認めなかったと報告されてます。 合併症に記載されたものとして、治療中または治療後に不快感、痛み、腫脹などを認めたとされています.*Sun J, Gao F, Wang Y, Sun W, Jiang B, Li Z. Extracorporeal shock wave therapy is effective in treating chronic plantar fasciitis: A meta-analysis of RCTs. Roever. L, ed. Medicine. 2017;96(15):e6621. doi:10.1097/MD.0000000000006621.

5.治療効果

 

 体外衝撃波による治療は,完全なる除痛を保証するものではありません.また患者様により治療効果や治癒期間が異なります.平均的治療効果は,60~80%と報告されています.また治療成功率は1年で98%(少なくとも60%以上の痛みが減少した割合)で、症状の再発率は8%であったとの報告もされています.

6.治療にかかわる費用

 

難治性足底腱膜炎の場合(保険適応)

 体外衝撃波(3回分)の負担金 

  1割負担の方 5,000円

  3割負担の方 15,000円

​ ※初診料,再診料は別途かかります.

 

他対象疾患の場合(保険外診療)

治療例と負担金

通院1回目 

 医師診察代+必要検査代+照射1回目(8,000円)

通院2,3回目 

 照射2,3回目 各8,000円

通院4回目 

 医師診察(治療効果に関する診察.今後の方針の決定)

​※保険外診療の場合,他の治療は同日にできませんのでご注意ください.

7.体外衝撃波治療の流れ

 

治療を希望の方へ

 

① 当院通院中の方

主治医へ申し出てください。

② 新たに当院へいらっしゃる方

担当医の診察を受け、治療が適応になるか診察、検査を行います。

* 照射治療の前に、診察および必要な検査を行います。

* 照射治療は予約制です。

8.治療の流れ

① 診察

 

1.まず主治医の診察で体外衝撃波治療が適応であることを確認します。

2.治療に関する説明をさせて頂き、よろしければ同意書に署名、捺印を頂きます。

3.体外衝撃波疼痛治療を実施又は予約します。

(保険外診療の場合、保険診療と同日にすると混合診療となるため即日には実施できません。)

② 体外衝撃波治療実施当日

 

1.予約当日は窓口で受付をして、担当医の診察後、カルテ持参し、2Fリハビリ室へ。

2.体外衝撃波実施前にスタッフがアンケートを実施し、うつ伏せやイスに座った状態などリラックスした姿勢で患部に機器を当てていきます。

3.およそ15分程度で照射終了となります。

※治療中は痛みを伴いますが,我慢できる範囲で出力を調整します.

4.次回の予約を行います.  

#これを週1回行い、必要に応じて3回くりかえします。

#その後は医師の指示により1か月後に治療効果について診察します。

足底筋膜炎,川田整形外科,体外衝撃波,ESWT

体外衝撃波疼痛治療(ESWT)の実際の治療効果について

川田整形外科で行わている体外衝撃波疼痛治療(ESWT)の治療効果について検証を行いました.治療効果の検証は①足底腱膜炎の治療効果,②足底腱膜炎以外の治療効果 以上の2点について行いました.

①足底腱膜炎の治療効果について

 足底腱膜炎の治療効果は1回目から3回目までの治療前後で痛みが約55~59%の改善を認めました.1回目の治療前と3回目の治療後の痛みは73%の改善を認め,改善した人の割合は94%とほとんどの治療対象者で改善を認めました.

 最終的なVASは平均13.5mmとあまり痛みを感じないレベルにまで改善しました.VASは痛みなしを0㎜,これ以上耐えられない痛みを100㎜とした場合の現在の痛みを表したものです.

 治療の改善は治療前後においてすべての回で統計学的に有意差を認めました.

②足底腱膜炎以外の治療効果について

 足底腱膜炎以外の治療効果は1回目から3回目までの治療前後で痛みが約30~40%の改善を認めました.1回目の治療前と3回目の治療後の痛みは52%の改善を認め,改善した人の割合は90%とほとんどの治療対象者で改善を認めました.

 最終的なVASは平均24.8mmとあまり痛みを感じないレベルにまで改善しました.VASは痛みなしを0㎜,これ以上耐えられない痛みを100㎜とした場合の現在の痛みを表したものです.

 治療の改善は治療前後においてすべての回で統計学的に有意差を認めました.足底腱膜炎以外の治療効果は足底腱膜炎に比べるとやや治療効果は劣りますが,VASは25mm程度にまで軽減しており,少しの痛みを感じるレベルまで減少しました.

 これらの対象にはアキレス腱炎や肩関節周囲炎,石灰沈着性腱板炎,大腿四頭筋炎,テニス肘などを含みました.

​詳細な検証結果についてはこちらをご覧ください.下のスライドはスマートホン用に縮小しています.見えにくい場合は先のリンクよりご参照ください.